上越教育大学 同窓会ホームページ

学長からのメッセージ

上越教育大学長 川崎 直哉 

 平成29年4月から上越教育大学の第八代学長に就任いたしました 川崎 直哉 です。
  現在、大学を取り巻く環境は、大変厳しいものがあり身の引き締まる思いでおります。教育界を中心に社会に貢献できる活力のある大学を目指し誠心誠意努力していく所存です。

 上越教育大学は、教育者としての使命感と人間愛に支えられた優れた教育者の養成と、現職教員が教育専門職としての高度な能力を修得するための大学です。これは、創立以来不変の本学の使命で、これまで学部卒業生約6,100名、大学院修了生約7,500名を輩出してきました。

 同窓生の皆様は、学校教育現場など各方面にてお元気で御活躍のことと思いますが、ご存じのように最近の教師を取り巻く環境はなかなか厳しいものがあります。
 学習指導要領改訂に伴い、子供達が学校現場で学ぶ内容も変化し、道徳教育の指導内容の重点化(教科化)や、小学校には英語やプログラミング学習も導入されるなど、教育現場でも対応すべき事柄が増えそうです。また、タブレット端末や電子黒板などICTもツールとして導入されるなど、そのような環境の中で、教師に求められる教育実践力は並大抵のものではありません。教師自身に学び続ける力が必要とされ、そのためには教師自身が学ぶ意欲と子供たちを思う心を持つことが欠かせません。本学で学んだ皆さんは、きっと日々、自覚して努力すると同時に、精神的にも豊かな、人間としてバランスの取れた教師となって活躍されていることでしょう。
 「天災は忘れた頃に来る」という言葉を言い出したと言われ、戦前の物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦の「科学者とあたま」というエッセーの中に、「科学者は頭が良くなくてはいけないが、同時に物わかりの悪い呑み込みの悪い田舎者であり朴念仁でなければならない」という表現があります。頭のいい人は見通しがきくので、結果がだめだと分かったり、前途が難しいと思うことはやろうとはしない。一方、そうでない人は、頭のいい人がやろうとしないことをやってみたりする。結局それがだめだと分かる頃には時間がかかるが、そのプロセスの間に何か別の方法を見つけることができるという意味です。
 エッセーの中で「いわゆる頭のいい人は、言わば足の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、途中の道ばたあるいはちょっとした、わき道にある肝心なものを見落とす恐れがある。足ののろい人がずっとあとから遅れて来て、わけもなくそのだいじな宝物を拾って行く場合がある。頭のいい人は、言わば富士のすそ野まで来て、そこから頂上をながめただけで、それで富士の全体をのみ込んで東京へ引き返すという心配がある。富士はやはり登ってみなければわからない。」とも述べています。
 科学者と先生は少し違うかもしれませんが、継続して学び続けることの重要性が指摘されているという点では、同じだと思われます。学び続けるプロセスの中で得た経験や出会いは必ずや皆さんの財産になっていることと思います。

 平成30年は本学創立40周年の記念の年となります。40年の間に本学も大きく発展してきました。本学はいつでも皆さんをお待ちしています。何か困ったことがあったら、いや困ったことが無くとも、時々、大学に、所属ゼミに、顔を見せてください。ここは皆さんの学びの郷里なのですから・・・。

                   (院生協議会誌「ぶらんこ」掲載より)